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『イタリア・ネオ+クラッシコ映画祭』公式サイト

延長上映決定!10/20(土)~26(金) イタリア・ネオ+クラッシコ映画祭
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CINEMA NEO + CLASSICO ITALIANO 2018
ジャンルを超えるスタイル

 イタリア映画では伝統的にスタイルとジャンルという力点が存在した。時代の声が言葉を見つけると、それはたとえばネオレアリズモのような流れとなり、その中で作家は表現を突き詰めて、それぞれの個性を確立させる。他方、娯楽性がレゾンデートルとなる商業映画では、あらかじめジャンルというパッケージで指向性を決め、作家はこれを武器に個性を発揮する。歴史活劇(ソード&サンダル)やイタリア式喜劇、マカロニウエスタンはその成功例だが、ある意味社会派にも共通するものがある。そして近年ではジャンルを強く意識させながらスタイルを極め、作家性の高い映画作りをする鬼才も少なくない。

 神話のヒーローがロマンティックでナイーヴでアイロニカルで血なまぐさい戦いに巻き込まれてゆく、言うなればマカロニウエスタンの始祖『ヘラクレス』、『ヘラクレスの逆襲』。歌の都ナポリを舞台にレヴューの愉しみを軽やかに映画化した『ナポリの饗宴』。極めて詩的かつ緻密な脚本と演出でブラックな大爆笑を提供するイタリア式喜劇の傑作『イタリア式離婚狂想曲』。いずれもジャンル映画の醍醐味を存分に味わわせてくれる。シルヴァーナ・マンガノを一躍スターにした『にがい米』は、ネオレアリズモ映画として最大のヒットを記録し、同時にその明らかな変容を示した。社会派的スタンスをとりつつ、ジャンニ・ディ・ヴェナンツォの撮影が形而上的地平へと誘う『暗殺指令』、ナチ収容所を舞台に論議を呼ぶほどドラマティックな表現を得た『ゼロ地帯』、描く対象を庶民からブルジョワ階級へ移して退廃と不条理の空気感を醸し出した『太陽の誘惑』。より劇的なドラマへ、社会派へ、様式化へ、映画言語は変わりゆく。

 そして近年の作品からは、タヴィアーニ一流の優雅な語り口でレジスタンス文学の一つの頂点とされる未完の小説を映画化した『ある個人的な問題―レインボウ』と、半島の踵、サレント地方で、その地で、彼にしか撮れない映画を撮り続けるエドアルド・ウィンスピアの『ともに歩む人生』。固有のスタイルや美学を通じて普遍化される世界と、人と風景と現実を見つめるまなざしから生み出されるスタイル―その言葉を解き明かせば作品の心に触れられるはずだ。

岡本太郎(ライター・翻訳家)

フランコ・クリスタルディ Franco Cristaldi

Franco Cristaldi
1924年10月3日、トリノ生まれ。医学生だったがロベルト・ロッセリーニと交流したことがきっかけで映画に興味を持ち、1946年にトリノで映画製作会社「ヴィデス」を興して短編映画や記録映画を作り始める。1954年より長編映画製作に乗り出し、それから五年後にローマに本拠を移して、以後ルキーノ・ヴィスコンティ、ピエトロ・ジェルミ、フランチェスコ・ロージ、フェデリコ・フェリーニ、マリオ・モニチェッリ、マルコ・ベロッキオらの傑作群を世に送り出した。女優クラウディア・カルディナーレの夫としても知られ(1966年に結婚し、1975年に離婚)、数々のカルディナーレ主演作を製作している。晩年に製作した『薔薇の名前』(ジャン=ジャック・アノー、86)や『ニュー・シネマ・パラダイス』(ジュゼッペ・トルナトーレ、88)も国際的に高い評価を受けた。1992年7月1日、モンテカルロにて死去。
今回のクラシック作品ラインナップは、クリスタルディ製作の名作3本とクリスタルディフィルム社所有の5本で構成された。

イタリア映画の新たな地平

『ある個人的な問題―レインボウ』UNA QUESTIONE PRIVATA

ある個人的な問題―レインボウ

監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
出演:ルカ・マリネッリ、ロレンツォ・リシェルミー、ヴァレンティーナ・ベッレ
2017年/84分/カラー

レジスタンスを描いたネオレアリズムモ文学の最高峰に数えられるベッペ・フェノーリョの小説を遂にタヴィアーニ兄弟が映像化。北伊ピエモンテ山岳地帯で展開される熾烈な戦いのさなか、ある狂おしい思いを胸に戦場を彷徨う青年のエモーショナルな歩みを追う。ストイックな詩情が煌く寓話的筆致の原作が、透徹した抒情を貫く映画的なトーンで変奏される。ヴィットリオの遺作となってしまった。

『ともに歩む人生』LA VITA IN COMUNE

ともに歩む人生

監督:エドアルド・ウィンスピア
出演:グスタヴォ・カプート、アントニオ・カルッチョ、クラウディオ・ジャングレコ
2017年/110分/カラー

イタリアの南東端、オリーブ畑と石積みの低い塀が続くサレント地方で“途方に暮れた”の異名を持つ町、ディスペラータ。太陽と海、今も流れる悠久の時、そのせいかどこか惚けた住民たち、間抜けな泥棒、詩を愛する気弱な市長、変わり映えのしない日常と変化への渇望。それでも、土地への愛と人間を信じるノーブルな力が奇妙な果実を結ぶかもしれないささやかな良心の奇跡の物語。

ジャンル映画の愉悦

『ヘラクレス』LE FATICHE DI ERCOLE

ヘラクレス

監督:ピエトロ・フランチーシ
出演:スティーヴ・リーヴス、シルヴァ・コシナ、ジャンナ・マリア・カナーレ
1958年/103分/カラー/デジタル・リマスター版

ギリシャ神話の英雄ヘラクレスおよび金羊毛探索をめぐる物語に基づいた、カラー&ワイドスクリーン歴史冒険映画。イタリア特有の史劇映画の伝統を受け継ぎつつ、そこに娯楽要素をふんだんに盛り込んで大ヒットを記録し、以後シリーズ化された。主演を務めた元ボディビルダーのアメリカ人俳優リーヴズは、本作の成功で一躍国際的映画スターとなる。

『ヘラクレスの逆襲』ERCOLE E LA REGINA DI LIDIA

ヘラクレスの逆襲

監督:ピエトロ・フランチーシ
出演:スティーヴ・リーヴス、シルヴァ・コシナ、シルヴィア・ロペス
1959年/100分/カラー/デジタル・リマスター版

『ヘラクレス』の大ヒットをうけて製作された続編。前作に続いてリーヴズが筋骨隆々のヘラクレスを演じる。今回はギリシャ神話にソポクレスおよびアイスキュロス作のギリシャ悲劇を混ぜ合わせた物語に、アクション・お色気・幻想要素をたっぷり織り込んで飽きさせない。撮影担当も前作に続き、恐怖映画の名匠マリオ・バーヴァ。

『ナポリの饗宴』CAROSELLO NAPOLETANO

ナポリの饗宴

監督:エットレ・ジャンニーニ
出演:パオロ・ストッパ、クレリア・マターニア、ソフィア・ローレン
1954年/129分/カラー/デジタル・リマスター版

1950年にフィレンツェで初演され、海外巡業もおこなうなど大成功を収めた軽歌劇の映画版。監督は舞台版でも演出を務めたジャンニーニ。辻音楽師一家が狂言廻しとなって、数世紀にわたる苦難に満ちたナポリの歴史を、悲喜こもごものミュージカル・オムニバス風に綴ってゆく。カンヌ国際映画祭の国際賞を受賞した。若き日のソフィア・ローレンにも注目。

『イタリア式離婚狂想曲』DIVORZIO ALL'ITARIANA

イタリア式離婚狂想曲

監督:ピエトロ・ジェルミ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、ダニエラ・ロッカ、ステファニア・サンドレッリ
1961年/105分/モノクロ/デジタル・リマスター版

かつてイタリアの法律では「酌量すべき情状」とみなされていた名誉殺人を悪用し、口うるさい妻を殺害しようと目論む男を描いた風刺喜劇。監督ジェルミら三人の共同執筆による脚本(G.アルピーノの小説に基づく)は、オスカー脚本賞を受賞。また作品自体、カンヌ国際映画祭の最優秀喜劇賞を獲得し、国際的に高く評価された。マストロヤンニの喜劇演技も絶品。

ネオレアリズモとその系譜

『にがい米』RISO AMARO

にがい米

監督:ジュゼッペ・デ・サンティス
出演:ヴィットリオ・ガズマン、ラフ・ヴァローネ、シルヴァーナ・マンガーノ
1949年/107分/モノクロ/デジタル・リマスター版

低賃金の農作業に就いて資本家に搾取されつつ、刑務所のような寮生活を送る出稼ぎ労働者の若い娘たちに、逃亡中の窃盗犯カップルが紛れ込むことで起こる悲劇。監督デ・サンティスが見いだした「イタリア版リタ・ヘイワース」マンガーノが、はちきれんばかりの魅力を発散する秀作。イタリア本国で、初めて興行的に成功した“ネオレアリズモ”映画とされる。

『暗殺指令』VENTO DEL SUD

暗殺指令

監督:エンツォ・プロヴェンツァーレ
出演:レナート・サルヴァトーリ、クラウディア・カルディナーレ
1959年/100分/モノクロ/デジタル・リマスター版

とりわけフランチェスコ・ロージ作品の脚本家として知られるプロヴェンツァーレの、唯一の監督作。マフィアからある貴族の殺害を命じられたシチリアの若い労働者が、どたんばになって暗殺から手を引き、姉に虐げられていた貴族の娘と共に逃げる。二人の間には愛情が芽生えるが、やがてマフィアの追っ手が彼らに迫り……原案に若き日のエリオ・ペトリが参加。

『ゼロ地帯』KAPÒ

ゼロ地帯

監督:ジッロ・ポンテコルヴォ
出演:スーザン・ストラスバーグ、ローラン・テルジェフ、エマニュエル・リヴァ
1960年/118分/モノクロ/デジタル・リマスター版

『アルジェの戦い』(66)の社会派ポンテコルヴォの長編第二作にあたるホロコースト映画。ナチの強制収容所で両親を殺されたユダヤ系の少女が、収容所医師らの助力により非ユダヤ系になりすまして別の収容所へ移送され、やがてカポ(囚人班長)となるが……篇中のあるショットが、批評家時代のジャック・リヴェットに激しく非難されたことでも知られる問題作。

『太陽の誘惑』I DELFINI

太陽の誘惑

監督:フランチェスコ・マゼッリ
出演:ジェラール・ブラン、クラウディア・カルディナーレ、アンナ・マリア・フェレーロ
1960年/105分/モノクロ/デジタル・リマスター版

1960年頃の地方都市における、上流階級の若者たちの自堕落な生態を辛辣に描いた作品。原題は仏皇太子の称号に由来する言葉で、「王位継承者たち」を意味する。監督マゼッリら三人の手になるオリジナル脚本に基づいており、執筆にはアルベルト・モラヴィアも協力。ジョヴァンニ・フスコ作曲/ニコ・フィデンコ歌唱の(英語の)主題歌もヒットした。

マーメイド・アンコール

『狂った夜』LA NOTTE BRAVA

狂った夜

監督:マウロ・ボロニーニ
出演:ジャン=クロード・ブリアリ、エルサ・マルティネッリ、アントネッラ・ルアルディ
1959年/93分/モノクロ/デジタル・リマスター版

ローマの最下層で奔放に明日なき日々を生きる若者たちを愛したパゾリーニの脚本を『わが青春のフロレンス』のボロニーニが、アナーキーさを損なうことなく映像化した絶品。すれっからしで美しすぎる街娼たちと、即物的で下品で獣のように魅力的な小悪党たちの、一日と一夜のめくるめく冒険と青春の輝き。金の威力しか信じない彼らの、諦観の賜物であろう容赦なさと達観は清々しいばかりだ。

『愛の果てへの旅』LE CONSEGUENZE DELL'AMORE

愛の果てへの旅

監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:トニ・セルヴィッロ、オリヴィア・マニャーニ、アドリアーノ・ジャンニーニ
2004年/104分/カラー

ガッローネとともにイタリア映画界を牽引し続けるソレンティーノ最初の傑作は、名優セルヴィッロとともに創り出したもっとも魅力的で孤独な主人公の捨て身の葛藤をまざまざと物語る映像作品だ。以降、洗練度もスケールも華麗さも増してゆく中で失われかけたナイーヴさが観る者の感情移入を誘い、思い入れたっぷりにこだわり抜いた仕掛けが観る度に新たな発見をもたらす奇異な作品でもある。
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